ブログ「川辺にて思う」

映画「カティンの森」

映画「カティンの森」を観てきました。

カティンの森事件 – Wikipedia:ja.wikipedia.org/wiki/カティンの森事件
映画『カティンの森』公式サイト:katyn-movie.com/pc

「ドイツのヒトラーとソ連のスターリンの密約によって、ポーランドは1939年9月1日ドイツに、9月17日ソ連に侵略された。そしてソ連の捕虜になった約15,000人のポーランド将校が、1940年を境に行方不明になった。当初は謎とされていたが、1943年春、ドイツがソ連に侵攻した際に、カティンでポーランド将校の数千人の遺体を発見し、「カティンの森」事件が明らかになった。ドイツはソ連の仕業としたが、ソ連は否定し、ドイツによる犯罪とした。戦後、ソ連の衛星国となったポーランドでは、カティンについて語ることは厳しく禁じられていた。ー映画公式サイトからイントロダクション抜粋」

戦争映画は辛くなるのであまり観に行こうとは思わないのですが、監督のアンジェイ・ワイダが世界的に有名な巨匠と言われる人であり、またその事件で虐殺された将校の息子であること、そして、ワイダ監督のこの映画製作に関する直接インタビューした番組をテレビで見て、これは観ておかなくてはいけないと思いました。

映画は一切お涙ちょうだい的な部分がなく、たんたんとそこで実際に起きたであろうことを重ねていくかのように作られています。
そこに感情や感動を誘うようなトリックがないことが、かえって考え、自分の中を覗き込まないではいられない感覚にさせられました。

映画は女性の視線で戦争を見ています。
戦争に行った男たちの運命ももちろん描かれるのですが、残され、帰還を待ちわびる女たちが何を見、何を思い、どのような場に追い込まれていくのかも静かに紡がれていきます。

自分が事件の影響を直接被っている立場にいながら、押し付けるもののないその製作の姿勢に、これが巨匠と呼ばれる監督の力なのだと感服しました。
そこにワイダ監督という個人の主張がないのです。

映画を観た人が思うことは様々でしょう。
私には2002年にドイツのファミリー・コンステレーションのインテンシブでの経験がよみがえっていました。

ドイツでは毎年5月に1週間、英語で指導してもらえるファミリー・コンステレーションのインテンシブ・トレーニングが開催されています。
世界中からおよそ100名近くの人がそこを訪れ、クラスを4つから5つにに分けて、ドイツを中心にヨーロッパの第一線で活躍しているシステミック・コンステレーションのセラピストの方々が指導をしてくれるのです。

私のクラスには12〜3名の参加者がいたと思います。
イギリスから数人、アメリカ、香港、台湾、オランダ、ギリシャ、フランス、イタリア、ロシア、日本などなど。

中にオランダ人と結婚したインドネシア人の女性セラピストがいました。
お互い東洋人の女同士ということで気が合い、仲良くなりました。

1週間のインテンシブの最終日に、その人がコンステレーションを立てたいと手を挙げました。

彼女の母親の最初の夫は第二次大戦中に日本軍にスパイと間違われて連れ去られ、捕虜を拘束していた日本軍のキャンプで首を落とされて殺されました。
その後、その母親は再婚し、その女性セラピストは母親の2番目の夫との間に生まれたのです。

彼女にとって、私が初めて個人的に知り合う日本人だと言いました。
そして、日本人が参加しているインテンシブの今回、彼女は今まで封印してきた問題についてコンステレーションを立てたいと申し出たのです。

そして、彼女は母親の代理人に私を選びました。

まだ、経験が浅く、ドイツやヨーロッパでのコンステレーションを取り巻く環境もよくわかっておらず、戦争がどれほど現在に影響を与え続けているか、日本とインドネシアの大戦中の関係も理解できていなかった私は、ただ素直に代理人という媒体を通して、彼女の母親の壮絶な苦悩を自分の体に感じ表現しただけでした。

彼女が私をあえて指名した思いなど露もわからないまま。

そのコンステレーションが彼女にとってどれほどの意味を持っていたのか、私には知る術もなく、その年以後も私は毎年ドイツに飛び、インテンシブに参加していますが、彼女は参加しておらず会えていません。

戦争が人を狂わすのです。
それがどの国の人間であっても、どの国の人間が他のどの国の、もしくは自国の人間に対してであっても、戦争の名の下に狂気が可能となり、現実と化し、実体を持つのだと、私は知りました。

でも、その私が感じ取ったことを他者に伝えたとしても理解は生まれません。

ただ、たんたんと事実を目の当たりに出来るように積み重ね、それを本人が必要な分だけを受け取れるように場を整えた上で、自分が整えたと思いたがる「私」が退くのみ。

コンステレーションのファシリテーターとしてあらためてどう在りたいかを、私はアンジェイ・ワイダ監督の表現方法に学びます。

アンジェイ・ワイダ監督の言葉をこのページで読んで下さい。

message&Production note | メッセージ&プロダクションノートhttp://katyn-movie.com/pc/message/

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