ブログ「川辺にて思う」

亡き叔母を憶う

一昨日の夜、秋田に行き、昨日の夜、札幌に帰ってきました。
叔母にお別れを伝えに、納骨式のために。

2年前の6月、叔母はひとりで父の一周忌法要に参加するために秋田から札幌までやって来てくれました。
80才を越えての一人旅はどんなに大変だったかと偲ばれます。

その日、私の家に泊まってもらい、大人になってから初めて叔母とゆっくり話しをする機会を持ちました。

とても美しい女性で、若い頃にはたくさんの縁談話があったそうです。
父から聞いたことがあります。

父が徴兵された後、叔母が一度面会に来てくれたことがあったときのこと。
叔母の美しさに兵舎がどよめき、兵隊さんの間に噂が瞬く間に広がり、父は質問攻めにあったそうです。

叔母が19才の時に好きな人ができ、その相手も叔母を望み、嫁に来てほしいと両親に許しを求めにきたけれど、その頃の叔母は身体が弱かったために、親が嫁ぐことを許さず、その方とは結ばれなかったのだそうです。
そして、生涯独身を貫きました。

一緒に夕飯をとりながら、私は叔母に尋ねました。

「その後誰とも結婚したいと思う人は出て来なかったの?」

「いなかったよ」

「寂しいからとか、誰かに頼りたいという理由で結婚する人もたくさんいるでしょ。
おばさんはそういう風には思わなかったの?
結婚を申し込まれたことは何度もあったでしょう?」

「そうそう、そういう理由で結婚した人を何人も知っているけど、そういうのでは別れるのも多いのよ。
私は仕事があって経済的に誰かに頼る必要がなかったから、結婚したいと思える人が現れなかったからしなかっただけ。」

「じゃあ、好きになって結婚したいと思ったのは、その19の時に好きになった人だけだったの?」

「そう」

ああ、もう、なんて潔くて気高いんだろう。

叔母が札幌から秋田に戻る時に

「もう来年の三回忌には来れないと思うので、これで会えなくなると思うから、元気でね」

と言われ、私はこう返しました。

「次は私から叔母さんに会いに行くから。」

そう言ってから2年、私は会いに行けないまま、叔母はひっそりと旅立ってしまいました。

約束を果たせなかった分、せめてお別れを伝えには行きたいと思っていたら、受け取った知らせにあった法要の日程は見事に仕事と仕事の狭間。

この叔母以外、ずっと父方の親戚とは何か距離があって、この叔母以外の親戚とは物心ついてからは会ったことがなかったのです。

が、その日、その叔母の二人の妹である叔母たちと、私が赤ん坊のとき以来の再会をし、そして初めて父方のいとこの一人と対面しました。

生まれて初めて会ういとこに、
嬉しさと、少しの照れくささと、なぜか懐かしさを感じました。

叔母がお別れに父方との縁を再度結んでいってくれたことを感じ、胸が熱くなりました。

今度、いとこ君とはゆっくり会って話そうねと約束して帰ってきたよ。
叔母さん。

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