システミック・コンステレーション

システミック・コンステレーションとは

システミックは「全体の、全体的な、体系の、組織の、系統の」を意味し、コンステレーションという言葉は、「星座」をあらわします。ワークショップの参加者に家族の代理人を務めてもらい、代理人をワークショップ会場の中央スペースに配置し、その配置された形状が夜空の星座を思わせることから「コンステレーション」という言葉が使われるようになりました。

家族システム療法「ファミリー・コンステレーション」にヘリンガーが多くの洞察と経験からの知識を加えたことにより、「ファミリー・コンステレーション」はその後、組織運営や、企業経営など、血縁ではない集合体の中の秩序を見つけるための方法へと大きく進化を繰り広げ、発展しました。

システミック・コンステレーションは、家族療法ファミリー・コンステレーション、ビジネス組織運営向けセラピーのビジネス・コンステレーションの両方を包含しています。

例えば、ファミリー・コンステレーションでは個人的な悩みととらえていたものが、実は自分が生まれる以前の過去に起きた家族全体が関わる事件の影響によるものだったということが発見される場合があります。

ビジネス・コンステレーションでは、会社の業績不振が実は経営者と従業員の関係に、経営者や従業員による家族関係のもつれが組織運営に投影された結果から起きていることがあります。

システミック・コンステレーションにおける秩序、道理、順位、序列を理解し、体感し、身につけることによって、家族全体、組織全体の中の、整理されていないがために生じていた問題を全く異なる観点からとらえることが可能になります。様々な難題や課題を、その秩序に則して整理することで、私たちは生きるためのエネルギーを無駄なく使えるようになります。

ファミリー・コンステレーションによって、個人は自身の内側にエネルギー源を発見し効率よく自分の能力を活かすことができるようになり、ビジネス・コンステレーションによって、組織は本来の目的に向かって無駄なく進化し、発展することが可能となります。現在では、問題の原因を家族背景の中からだけでなく、社会的な条件や、歴史上の事件や政治的な背景も含めて、個人の苦しみの根源を解き明かしていくようになり、ファミリー・コンステレーションから、より全体を包含するシステミック・コンステレーションと呼ぶ場面も増えています。

理論

私たちは自分でも意識しないうちに、成功や、のびのびと生きること、また健康などを犠牲にし、人生に制限を課していることがあります。
ヘリンガーは、なぜ人はそのような犠牲や制限を自ら課しているのかに深く関心を持ち、観察し、答えを導き出しました。そして、幸福を望みながらも犠牲を手放せない葛藤に苦しむ本人が、その事実と背景を客観的に見、その上で向き合い、乗り越え、手放すことを可能にしました。

ヘリンガーは、家族の中で過去に起きた出来事や事件が、その後の世代にいかに影響を及ぼすか、そして、家族や組織が安定し、機能していくことを助ける隠れたいくつかの法則とその力の範囲と影響の強さ、その法則からはずれると何が起き、それに従うときに何が起きるかを明確化しました。

その結びつきや絆を守る法則が無視されると、家族やグループ、その組織の中に流れるエネルギーはバランスを崩します。

それによってその後の世代の誰か、家族であれば子どもや孫が、バランスを取り戻さなくてはならない暗黙の衝動に駆り立てられることになります。

バート・ヘリンガーのシステミック・セラピー論は、家族や一族、組織への所属を守るためのグループの良心の存在と、グループの良心が持つ制約について明らかにし、家族やグループ、誰も犠牲にすることなく組織の均衡を取り戻す道を指し示してくれるのです。優先の順位、均衡の法則、所属とは、個人とは何か、家族とは、グループとは、組織や集合体が持つ意識とは何か、運命とは・・・。理論は細部に渡り、多くを教えてくれます。

もし私たちが一つひとつ学び、実感していくことができたなら、生きることはそれらの法則を学ぶ以前よりはるかに楽になることでしょう。

他者の問題に巻き込まれることがなくなり、例えあったとしても対処の術(すべ)が自分の中にあることを知り、また、自身の思い悩む事柄がどこから来て、何によるものかについて理解が可能となり、手放すことが容易になります。

私たちは「責任」という言葉をむやみに恐れることをやめ、そこから湧き上がる力を自分のものにし、自由を手にし、生の潮流に乗るのです。

ファミリーコンストレーション
ビジネスコンストレーション

結果のとらえ方

ワークショップやセッションで求める解決とは、それまでのやり方とは違う現実との向き合い方です。そして、そのイベントの場から自分の日常に戻ったとき、自分自身の内側に乗り越えるためのエネルギー源を見つけ出すことです。

コンステレーションという方法が問題を解決するのではありません。問題を解決させるのはあくまでも本人の力です。システミック・コンステレーションが本人の力を引き出す介添えとして認識されるとき、その人はもっとも効率よく生きる力を発揮します。ワークショップやセッションの場で解決が現れたとしても、システミック・コンステレーションのおかげで全ての悩みが解消すると本人が考えているなら、その依存心自体が真の解決が現実化するのを遅らせてしまうでしょう。

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